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釣りをしている時に落水したら……命を守る5つの行動【海釣り編】

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釣りにまつわる死亡事故。家族や友人、恋人、狙った魚を残して死ぬわけにはいかない。

 

一年を通して絶えない海難事故。なぜ人は死ぬのか?どうすれば助かるのだろうか?

釣りをしていて高波にさらわれた、磯への渡しのさなかに落水して頭が割れて死んだ、カーボン製の釣竿に落雷した、沖合で船から落水し行方不明、など挙げればキリがない釣りにまつわる死亡事故。

そうした事故を未然に防ぐことは不可能であったとしても発生確率を減らすことはできる。さらに、落水した際にとる行動によって生存確率をあげることができる。以下では、これまでに読みあさった書物と私や仲間が経験した事故、これらを科学し導いた落水時にとるべき5つの行動を順番にまとめた。

 

*(まず、これまでに事故に遭われた方や海難事故でお亡くなりなった方々には心よりご冥福をお祈りします。その上で、当記事は閲覧者の方々に役立てばとの想いで内容をまとめています。万が一、危険な体験をされた方やご遺族の方などがご覧になって、不快に感じる表現がございましたなら、どうかご容赦下さいますようあらかじめご了承のほどお願い申し上げます。)

 

 

(1)  落水中、滑落中は頭部を守ること。          

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「しまった!踏み外した!」「波に足元さらわれた、ヤバい、落ちる!」

と思った瞬間、頭部を守ってください。竿やタモなど投げ捨てて、必ず頭部を守ってください。頭を両腕で守ること、これをするとしないとで、頭を打ちつけてブラックアウトする、フジツボやテトラや磯で顔面が血だらけになる、などのリスクを大幅に軽減できます。

ちなみに、海中で頭を打ちつけてブラックアウト(失神)すればほぼ確実に死にます。

    

"釣り人の「マジで死ぬかと思った体験談2 P52」"より抜粋

…懐中電灯を受け取った私は「うん、わかった!」と言いながら懐中電灯のスイッチを入れ1歩目の右足を踏み出した。その瞬間、私の身体はすでに堤防にはなかった。そうである、真っ暗闇の中、真冬の海に堤防の先端から落っこちたのである。

…そしてハッとなりとっさに頭を抱えた。なんせ、真っ暗闇で落水したものだから、海面までの高さがどの程度あるのか、いや下が海なのかテトラなのか磯なのかもわからない。とにかく頭が割れたら終わりだと思ったのか、無意識のうちに両手で頭を抱えたのだ。

 

 

(2)  ただ浮く、冷静に浮く。できれば仰向けに浮く。

ラッコになった気分で浮いてください。何も考えずに浮くことから全てが始まります。

海水では身体が勝手に浮きます。ジーパンを履いていてもちゃんと浮きます。プールで習った落水授業とは異なり、海水は比重が真水より大きいため人体が浮きやすくなるのです。

また、人間は必ず身体の2%は浮きます。仰向けになれば呼吸は必ずできます。

したがって、万が一ライフジャケットを着用していなくても身体が勝手に浮くので、それから落ち着いて落水の現状を認識し対策を考えてください。あおむけに浮けばベストですが、すぐに陸を探すわけですから無理してあおむけにならなくてもベターです。

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 (3)  浮力体を陸から投げてもらい、ゆっくり上陸地点まで泳ぐ。

同行者がいるならタモや水汲みバケツを陸から出してもらうか、ペットボトルなどの浮力体を放り投げてもらいましょう。それに捕まれば一安心。あとは落ち着いて上陸地点を目指して下さい。

同行者は焦って飛び込まないでください(特に父親)。すぐに飛び込むとパニックになった子供や落水者にしぶきと波がかかり更にパニックになります。

また、同行者も飛び込んだ瞬間、「あれ身体重くて思うように動けぬ」と気付くはずです。とはいえ、落水者がわが子の場合は私でも飛びこまずにいられません。愛するわが子のために自分は死んでもいいからと思い、必ず飛び込むでしょう。

ですが、その前に浮力体を投げ込む、バケツを放り込む、などして計画的に飛び込みましょう。

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参考

溺れた人の救助|講習の内容について|救急法等の講習|活動内容・実績を知る|日本赤十字社

 

 

*(以降は、一人釣行など周りに人がいないケースや他のヤバいケースの対策です。)

(4)  離岸流はヤバい。離岸流かも?と思ったら必ず岸と並行に泳ぐこと。

落水地点が離岸流だった場合、それは死の確率を格段に高めます。そして、離岸流か否かは落水して初めてわかります(筆者も経験者です)。そのため、もし離岸流かもしれないと気付いたらとにかく岸と並行に、横に泳げばいい、という知識があるかないかが大変重要です。

     

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 離岸流は、沖から岸に吹き付ける風により波が生まれその波が沖へ帰って行くときに生じる強い潮の流れです。秒速2mの速さで沖へ流されるので、オリンピックの選手など水泳達者でもなかなか前へ進めないと言われます。

一方で離岸流にも弱点があります。それは潮の幅が短いこと。10m~30mしかありませんので、悪くとも30mガンバって泳げば離岸流から必ず脱出できます。

したがって、前へ進まない、沖へ流されると思った瞬間、落ち着いて真横に泳いで下さい。離岸流を抜けてから岸へ向かって泳げばよいのです。

 

 

 (5) 低体温症(ハイポサーミア)。水温15度以下はかなり危険。

 

水温 意識不明に至る時間 生存時間
0度以下 15分以内 15-45分
0~5度 15-30分 30-90分
5~10度 30-60分 1-3時間
10~15度 1-2時間 1-6時間
15~20度 2-7時間 2-40時間
20~25度 2-12時間 3時間~
25度以上 体力の続く限り

体力の続く限り

(出典:米国コーストガードより,公開数値を用いて釣りラボでグラフ化)

 

低体温症とは、生きていくために必要な活動ができないほどまで体温が下がり身体機能が極限まで低下した時に起きます。現れる症状は、体がガタガタと震える・筋力低下・痛みが出る、などです。思考能力が低下するため恐いとパニックになると溺れる危険性があります。また、ひどい低体温症ではブラックアウトしそのまま死に至ります。

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グラフ(福岡の気温と海水温)のように11月~4月の海水温は、福岡近海でも15度を下回ります。つまり、秋の青物釣りやヒラメ釣り、チヌのノッコミ、ジギング船など、この時期に落水すると2時間以内に意識不明になり6時間以内に救助されないと死に至るとわかります。

したがいまして、落水して長時間海中にいると低体温症のリスクが高まりますので注意が必要です。

 

 

以上が、「釣りをしている時に落水したら、命を守る5つの行動」となります。皆様には水難事故とは無縁のフィッシングライフを満喫して頂きますよう、注意喚起の意味も込めまとめさせて頂きました。